老後におけるパラドックスの箱とは・・・?

つい先日、近所で介護に疲れた57歳の派遣社員の夫が、下半身が不自由な54歳の自分の妻を殺害する事件があった。新聞の報道によると、その夫の母も老人介護施設に入居しているらしい。全く痛ましい事件だ。

介護保険が導入されたのは2000年。すでに10年が経過した。にもかかわらず、相変わらず老後と介護とお金の問題は深刻だ。現実問題として、費用の安い(相部屋)特別養護老人ホームに入居したくても入れない人の数は全国で25万人もいる。今後、5年から10年もすれば人口ボリュームの大きい(800万人)団塊世代が、一斉に後期高齢者(75歳以上)になり、まだまだその人数は激増するだろう。

介護が必要になった後期高齢者は、自分で自分の住む所は決められない。決定権は長男の嫁にある。また、お金持ちほど費用の安い特別養護老人に並ぶ。その理由は、子供の教育資金はいつ終わるかがわかるが、お年寄りの介護は何時終わるかがわからないからだ。

老後とお金。これはイソップ物語の「アリとキリギリス」に例えられる。若い時(夏)に一生懸命仕事をしてエサを蓄えていた(老後資金)アリと、若い時(夏)に遊び呆けて無駄遣いを繰り返してきたキリギリス。体が動かなくなった冬(老後)に、人生に残酷な結果(差)が現実なものになる。

しかし、問題はそんな生易しい物ではない。中国の製造業の台頭や円高による日本企業の海外移転、技術革新によるデフレ経済は、アリのように一生懸命働いたとしても、決して安心して暮らせる老後を手に入れることが難しくなることが予想できる。「お金のことを心配しなくてもなんとかなった日本」から、「お金のことを真剣に考えておかないとどうにもならない日本」。政治家を見るまでもなくみんなそれぞれの立場で保身に明け暮れ、「自分だけ良ければ良い!」のオンパレード。

かつての公的年金は、払った分の何倍にもなるとてもおいしい投資先であった。しかし、数年前からとてもではないがそうは言えない状況になっている。現在の所、マダ払えば増える計算にはなっているが、国の甘い計算見通しがかなり心配だ。

つまり、「お上に頼っているだけでは心もとない時代」になったということ。どうも私たちには「暗い将来(老後)」しか待っていないのかもしれない!

では、いったいどうすればよいのだろう?何か良い方法はないのだろうか?

ズバリ、その解決策は次の二つの方法しかないような気がする!

(1)公的年金を支払いつつ、自分自身の老後の為にお金を貯める方法

(2)公的年金を支払わず、自分自身の老後の為にお金を用意する方法

数年前の厚生労働省の標準的な試算は次のようであった。

東京都内に住む夫60歳(勤続35年)、妻58歳(専業主婦)の例で、二人ともが平均寿命まで生きたとして必要な老後資金は9500万円。退職金で2000万円、年金で5000万円は返ってくる。つまり残りの2500万円を持っていれば、自分たちが死ぬまでの老後はなんとかなるというものだ。

しかし、年金額の5000万円があてにならない以上、なんらかの方法でその穴を埋めなければならない。投資の才能と運がある人であればその穴も埋められるだろうし、ひたすら質素倹約を常とし、お金を堅実に貯め続けるのもひとつの方法である。

公的年金を払わない人にメリットがあるのも確かである。しかし、年金を払うメリットがあることは決して忘れてはならない。自分でよくよく比較して決めるのが良いだろう。

しかし、実際は、公的年金が破たんしないとすれば、やはり国が仕切っているメリットは大きい。かといって、老後を年金だけで暮らすことはどう考えても厳しいことも考え合わせると、やはり(1)公的年金を支払いつつ、自分自身の老後の為にお金を貯める方法がパラドックスの箱のような気がする。

その理由は、公的年金の支給対象は、老人だけではない。障害者や一家の大黒柱を失った妻や子供にも支給される。年金を払わないということは全てもらえないことを意味する。若いうちは元気だが、体が言う事を効かなくなってくる老後はお金が便利なのは言うまでもない。現実は厳しい。

daihyo

投稿者プロフィール

地場の自動車ディーラーの株式会社ホンダクリオ徳島にて、営業・マーケティング・支店運営責任者を歴任。米国の先進的営業手法教育プログラムPSS(プロフェッショナル・セリング・スキル)を体得し、商圏が小さいにもかかわらず大都市圏のライバルを抑え、中四国地域販売台数トップセールスに5年連続輝く。平成2年家業大表建設株式会社(現社名:ダイヒョウ株式会社)に転職。専務取締役歴任後、代表取締役に就任。平成10年インターネットに出会い、日興証券のエンジェルキャピタルを得た株式会社アルファベティックアクション(現在、株式会社KSKアルパ)のシステム開発に参画する。以降、インターネットマーケティングの研究と各種携帯電話ソリューション事業を展開。2005年11月に、高齢者向け賃貸住宅コンサルティング、アパマン経営コンサルティングなどの各種コンサルティング事業を手がける有限会社ウェルライフ徳島を設立。同、代表取締役に就任。現在、全国のクライアントの個別コンサルティング及び小口不動産証券化ビジネススキーム構築のために全国行脚を積極的に展開中。昭和37年徳島県徳島市生まれ。血液型O型。

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